受賞のことば

ありがたいよう

 岡山の同人誌「まつぼっくり」の勉強会に誘われ、どんな作品を持って行こう! 考えあぐねているときでした。わたしがパジャマ替わりに着ているTシャツと、全く同じTシャツを着て歩く人を見かけたのです。パジャマを着て外出するなんて、みっともない! そう思いましたが、本来それは外出着として売られているものです。みっともないと感じたのは、そのTシャツをパジャマと認識しているわたしの思い込みに過ぎません。この勝手な思い込みを物語の「核」にして作品を創ろう。そう考えて出来た作品が「ぼくのゲームを取り上げたのは山田です」でした。
 佳作に選ばれましたと電話を受け取り、たいへん有り難く思うと同時に優秀賞でなかったことを残念に思いました。そこで、久しぶりに作品を手に取り読み返してみると、足りない描写や、ストーリーの粗さが鮮明に見えてきます。自分の力不足に頭をうなだれましたが、そんなことで落ち込んでもしょうがない。あれを書いたのは一年前の自分だ。佳作を頂けた、それだけで余りある名誉だ。落ち着いて考えてみると、じわじわと喜びが込み上げてきました。つばさ賞を頂いたことを心から感謝しております。これを励みにプロの表現者を目指し、これまで以上、努力精進し一つひとつの作品に真摯に取り組んで行きたいと考えております。本当に、ありがとうございました。

トップにもどる