受賞のことば

ふくだ のりこ

 昨年、児童ペン新人賞をいただきました。
 日本児童ペンクラブは、大宅壮一氏と川端康成氏を顧問として一九七一年に設立されました。二〇一五年に児童ペン賞ができ、昨年、二回目にして初めて新人賞が創設されました。その初めての新人賞をいただけたことが、意味深く、本当に嬉しく、光栄に思います。
 受賞作「黄色いかさ」は、ちょうど十年前の季節風大会の越水利江子さんの分科会に出したものです。そのときは推薦作にも選ばれず、でも、具体的なアドバイスをいただけて、頑張って書き直しました。あのときは夢中でした。それを「季節風」に投稿したら、掲載され……そのときにご連絡くださったのが後藤竜二さんでした。あのときのお電話がくっきりと思い出されます。それからずいぶん経ちました。思い出多い自分の大切な作品として手元にありましたが、推敲に推敲を重ねて、今回、規定の十枚にして、児童ペン新人賞に応募しました。そして思いがけず新人賞をいただけましたが、すべては季節風大会が始まりです。あのときの越水さん、仲間の皆さまには本当に感謝しています。
 現在、かつての友人たちは出版しています。私は応援団でいい、魅力的な友達に出会えたことが私の宝物だと思うことが多く……欲もなくのんびり屋の私、なんで書いているのだろう。やめちゃえ〜と思うこともありました。でも、細々と書いていました。
 今回受賞して多くの方々からお祝いされ、中野サンプラザの授賞式では自分がステージ側にいることが夢のようでした。何年も続けていればいいこともあるんですね。子どもたちが大好き。子どもたちが元気になる物語を、応援歌を書きたいと強く思います。自分しか書けない物語、心があるはずだと思います。今日の「受賞の言葉」を機会に、のんきな自分に決別して、書きます。 旅の好きな私ですが、世界の子どもたちに、私らしい心を届けられたら本望です。
 今まで出会った多くの創作の友人たちに心から「ありがとう」を申し上げます。そして、「これからもよろしく」と……。

トップにもどる