大切な預かりもの

せいの あつこ

 二〇〇九年の三月に宇都宮へ引っ越して、高橋秀雄さんの講演会のチラシを図書館で手にしました。講演後、飲み会に誘っていただき、流れで入会することになりました。でも、児童文学も創作も分かりません。何を書いたらいいですか? と高橋さんに聞きました。「恥ずかしいことを書きなさい」とのことでした。夏頃に「恥ずかしいこと」をなんとか書いた十枚ほどの作品を、高橋さんは季節風大会に出すことを勧めて下さいました。参加した季節風大会では厳しめの言葉も何故か嬉しく、この世の天国と思ったくらいに楽しかったことを覚えています。
 今回、佳作をいただいた作品は、短編だった当作を季節風に投稿し、掲載していただきました。合評で、作品へのアドバイスや熱意をいただくたびに、自作ではあっても作品は、私に預けられた貴重な預かりもののように思えてきました。今はうまく形にならないけれども、いつか、きっと。その作品が持つ個性が十分に花開くように、作品を追いきる力と目と耳が欲しいと思います。願わくは、作品を追いきったその先が、時代や子どもたちの言葉ならざる声に繋がっていますように。
たくさんの熱気とアドバイスと励ましを心より感謝いたします。

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