受賞のことば

みとみ とみ

 このたび、子どもたちに向けて書いたノンフィクション物語で賞をいただくことができました。とてもありがたいことと、喜んでいます。
 私が下町ボブスレーのことを初めて知ったのは、二○一三年十一月、「大田区の町工場の有志でボブスレーのそりを作って五輪出場を目指している」という新聞記事を見つけた瞬間でした。
 大田区は私が生まれ育った、愛着のある土地。その大田区の町工場の快挙を、自分の手で書きたい。そう思った私は、記事を書いた記者さんに連絡をとり、町工場の人たちを紹介してもらいました。
 ところが、私が取材を始めたとき、下町ボブスレーは「ソチ五輪不採用」が決まった直後で、さらにその二年後には「平昌五輪でも不採用」が決まってしまいました。
 それでも、町工場の人たちは常に前を向いていました。日本人に乗ってもらえないなら外国人に、と発想を変えた結果、ジャマイカの選手が下町ボブスレーに乗って平昌五輪を目指すことになったのです。志があれば、道は開けるのですね。
 今回、初めてノンフィクション物語を書くに当たり、取材方法、物語の構成、山場の作り方などで大変悩みましたが、なんとか私なりの「下町ボブスレー物語」を完成させることができました。
 この経験を糧に、これからも、志があれば道は開けると信じて、自分の書きたい物語を書き続けていこうと思っています。

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