受賞のことば

和田 れん

 児童文学の賞でもなく、未熟このうえない身でこの場をお借りしますことをご容赦ください。
 小説を書きはじめて二年が過ぎ、季節風に入会させていただいた今夏。三十枚の作品を書くにも息切れしているところに、「縄文の女神ストーリー大賞」募集の記事が目に留まりました。「縄文の女神」という愛称がつけられた国宝土偶について、ジャンルを問わず、当時の風土やくらしを取り入れた創作を、とありました。
 日本史が好きで、歴史物を書いてみたい。けれど時代考証はもとより筆力も足りず。応募をためらいましたが、この募集では縄文時代を「自由に」表現してよいとのこと。なにより、土偶が出土した山形県の舟形町を調べていくうちに、発掘現場近くを流れる小国川という清流と「縄文の女神」土偶の美しさに魅せられてしまいました。
 その土偶を生んだ土地を、その地に生きた人々を、いまそこに住むみなさまが誇らしく思えるような物語をつくりたい。これほど強くなにかを込めて書きたいと思ったのは初めてのこと。軸になる二人の登場人物の名前を足往(あゆき)と火魚(かな)と決め、書き出してみると、八十枚を超える物語になっていました。
 受賞の知らせが届いたのは、季節風大会の前日。うれしいと感じたのも束の間、初めて参加した合評会で、彼我のあまりにも大きな力の差、それも筆力だけでなく、読み取る力すら遠く及ばぬことに、鳥肌が立ちました。
 ないない尽くしの未熟者ではありますが、そこに気づけたからには努力あるのみ。一歩でも前に進めるよう、全力を注いでまいります。
 どうぞ今後とも、厳しくもあたたかいお導きを賜りますようお願い申し上げます。

トップにもどる