B・楽天性(5名)

☆世話人 高橋秀雄・開隆人

「まずは自らのこと」
 この頃季節風では、作者自身のことを書いた作品を読まなくなったような気がする。二月に出た、山形童話会の花鳥賊康繁氏の散文集『私も非国民になろう』の中で、この「季節風」(全国児童文学同人誌連絡会)の後藤竜二代表の作品のことなどが書かれていた。
『九月の口伝』『おまつり村』『トマトとパチンコ』が取り上げられていたが、『おまつり村』は山形から北海道に渡った先祖のことらしいが、他は自分の子ども時代が描かれている。デビュー作『天使で大地はいっぱいだ』ももちろん、後藤さん自身のことだ。
 季節風は、自分のことを描き切ることから始まったような気がする。先日、テレビで「最後の講義」と題した番組に出演されていたあさのあつこ氏も、テレビでそのようなことを話していた。岡山の美作の話を私たちは「季節風」で読んでいる。八束澄子氏、長崎夏海氏、最上一平氏も、故郷や子ども時代がなかったら(おかしな言い回しだが)、作品と作者に出会えなかったような気がする。
 私もその流れに乗せてもらった。まず自分自身を明らかにする覚悟がなかったら、作品は書けないと思ったのだ。そして、児童文学として成り立つのなら、舞台設定やら何やらで、これほど楽な題材はないと、楽な道を選ばせてもらった。
 そんなことを、花鳥賊氏の本と、あさのさんのテレビで考えさせられた次第である。損な話ではないと思う。楽天性分科会で、季節風の作家たちの昔話をしてあげましょう。書くきっかけになることを受け合うつもりです。

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